【読書感想】東野圭吾「危険なビーナス」
【ジャンル】ミステリー
【書評】A
【感想】
東野さんの作品を初めて読んだ。読みやすい文体、魅力的な登場人物、そして、読み手が作品にのめり込める仕掛けが随所に張り巡らされている。
話を本作に戻す。動物病院で働く伯朗(はくろう)は、年の離れた異父の弟、明人が失踪したと明人の妻、楓から聞かされ、楓と共に明人の行方を追う。
物語の縦糸は明人の失踪だが、そこに伯朗の両親の死や、伯朗を取り巻く縁者の思惑など、様々な横糸が通され、1枚のカンバスができあがる。そこに描かれていたものは…
【読書感想】星野源「蘇える変態」
【ジャンル】エッセイ
【書評】B
【感想】
よく芸能人の本はゴーストライターが書いているというが、本作は確実に違う。内容が、いい意味で低俗で型破りだからだ。ゴーストライターならもう少しまともな文章を書くはずである。
本作は星野さんが世間一般で有名になる前に書かれたものであるが、やはり普通の人とは違う。いい意味で狂気とギラギラしたものを感じる。他人(読書者)の目を気にせず、自分をさらけ出せるところがすごい。純粋で自分を飾っていない。恋ダンスを笑顔で踊っている姿からは想像もつかない。ちなみに星野さんはお酒が飲めないらしい。
どちらかというと、星野さんにあまり興味がなかったが、この本を読んで彼のファンになりそうだ。
【読書感想】万城目学「パーマネント神喜劇」
【ジャンル】ファンタジー
【書評】B
【感想】
いい加減だが人情味あふれる縁結びの神様の奮闘記。縁結びのノルマに明け暮れる神様のところにフリーライターの「ちはやふりー」が現れ、二人の掛け合いで物語が進む。
神社で神頼みしている人に、本作のような神様が本当に尽力していたら面白い。
【読書感想】辻仁成「エッグマン」
【ジャンル】その他
【書評】A
【感想】
料理で人を幸せにし、複雑な人間関係を解きほぐすなんて、実生活ではあり得ない。当たり前のことだ。しかし、小説の中ではあり得る。だから小説は面白い。
そして本作を読むと穏やかで温かい気持ちになれる。
【読書感想】谷村志穂「移植医たち」
【ジャンル】医療
【書評】B
【感想】
「見栄や外聞よりも大切なものがある」
若き医師、佐竹山は、移植医療の権威、セイゲルの情熱に感銘を受け、渡米しアメリカの移植医療の現場に身を投じる。
脳死したドナーから提供される臓器で、命をつなぐ患者。日本とアメリカの医療をめぐる環境の違い。小説ということで、多少盛っていると思うが、それを差し引いても面白い。
ただ、クライマックスで誤字があったのが、残念。
【読書感想】あき「ズボラ家計簿」
【ジャンル】その他
【書評】A
【感想】
今年の3月から家計簿を付けているが、気付いたことは思った以上に毎月お金を使っているということ。そして、どうすればいいか考えた。その結果、外食の回数を減らしたり、お昼をお弁当にしたり、コンビニでの買い物を控えたりした。また、それが活かされているか、毎月家計簿付けてチェックした。こうしてPDCAサイクルを回した。僕みたいなサラリーマンは急に収入を増やすのは難しいが、支出を減らすのに効果がある。
これで、今まで貯金ができなかったのが、上手く軌道に乗るようになった。
話を本作に戻すと、家計簿を付けることってハードルが高いと考える人も多いと思うが、そんなに構えなくていいよってことを教えてくれる。途中で挫折してもまた復活できるようなやり方も書いてあるのは、タイトルを〝ズボラ〟家計簿としている本作の真骨頂か。
【読書感想】中村航「無敵の二人」
【ジャンル】スポーツ(ボクシング)
【書評】B
【感想】
父の意思を継いでボクシングジムのトレーナーになったひかると、サッカーをけがで挫折し、ボクシングを始めたハタケの物語。
始まりは、ひかるの幼い頃の話。ひかるのキャラクターをたたせるためには必要だったかもしれないが、もう少し短くてもよかった。
その後は物語がテンポよく進み、読み手を飽きさせない。
本作は、実話に基づいているが、実話とは思えないほど、ドラマチックな内容。
今の自分が行き詰まっているときに読むと、背中を押してくれる1冊。