【読書感想】三浦しをん「舟を編む」
【ジャンル】企業・仕事
【書評】S
【感想】
大学に通っていた頃、小説は長編であればある程、読み応えを感じていた。当時は村上春樹や宮本輝が好きで、図書館で借りてきて、文字どおり寝食も忘れて読み漁っていた。
しかし、就職して結婚して子どもができてと、様々なイベントを繰り返していくうちに本を読む時間もとれなくなってくる。そうした中で、自分の中で本を評価するポイントも変わった。今では、物語の長さより、無駄を削ぎ落としたものこそ、最良の物語であると思う。
前置きが長くなったが、本作は、出版社で辞書を編纂する人々の話で、すごく地味に思われるかもしれないが、登場する人物のキャラ付けが秀逸で、無駄な脇道もなく、完璧だと思う。途中で時間が飛ぶが、その間に何があったのか、想像力を掻き立てられるのもいい。