四つ葉のブログ

僕と妻、三人の子どもと暮らしています。趣味は、読書とジョギング、たまにロードバイク。いつかはトライアスロンに。書評=S(時間を忘れる程面白い)A(とても面白い)B(面白い)C(まあまあ)D(いまいち)E(つまらない)※あくまで個人的な感想です。

【読書感想】三浦しをん「舟を編む」

【ジャンル】企業・仕事

【書評】S

【感想】

大学に通っていた頃、小説は長編であればある程、読み応えを感じていた。当時は村上春樹宮本輝が好きで、図書館で借りてきて、文字どおり寝食も忘れて読み漁っていた。

しかし、就職して結婚して子どもができてと、様々なイベントを繰り返していくうちに本を読む時間もとれなくなってくる。そうした中で、自分の中で本を評価するポイントも変わった。今では、物語の長さより、無駄を削ぎ落としたものこそ、最良の物語であると思う。

前置きが長くなったが、本作は、出版社で辞書を編纂する人々の話で、すごく地味に思われるかもしれないが、登場する人物のキャラ付けが秀逸で、無駄な脇道もなく、完璧だと思う。途中で時間が飛ぶが、その間に何があったのか、想像力を掻き立てられるのもいい。


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【読書感想】夢枕獏「神々の山嶺」

【ジャンル】ミステリー・冒険

【書評】B

【感想】

伝説の山岳クライマー、羽生丈二をジャーナリストの深町が追う。追うなかで、明らかにされる羽生の過去と1台のカメラの謎。

物語は深町の視点で語られる。山を登る臨場感を味わいたいなら笹本稜平さんの作品がお勧めだが、人間の内面的な葛藤を味わいたいなら本作だろう。羽生の不器用さが痛いほど突き刺さってくる。


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【読書感想】宮木あや子「校閲ガール」

【ジャンル】企業・仕事

【書評】A

【感想】

サクッと読めておもしろい、良質なファストブックだった。おもしろい本にはよく感じるが続編が読みたくなる。

なぜかこの本を読んでいたら、安野モヨコさんの「ハッピー・マニア」を思い出した。


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【読書感想】恩田陸「夜のピクニック」

【ジャンル】その他

【書評】A

【感想】

本屋大賞を受賞してから随分経つ。なかなか手が出なかったのは、僕もいい大人になって、青春だとか恋愛ものに感情移入できないと思っていたからだ。

物語は高校の全校生徒が80キロ歩く、歩行祭の朝から始まる。西脇融と甲田貴子は高校三年生で、クラスメートが知らない二人だけの秘密を抱えながら、高校最期の歩行祭を歩く。

僕が高校生のときに読んでいたら、彼ら目線で読み進めていたと思うが、今は彼らの親目線で読んでも十分楽しめた。


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【読書感想】笹本稜平「ソロ」

【ジャンル】冒険

【書評】B

【感想】

ヒマラヤ山脈を舞台とした山岳小説。まるで一緒に山を登っているような気になれる1冊。作者の書き方が上手いのか、読んでるこちらが息を飲む場面がいくつかあった。磯村のサイドストーリーは好みの別れるところだが、全体に読みごたえがある。


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【読書感想】瀧羽麻子「乗りかかった船」

【ジャンル】企業・仕事

【書評】B

【感想】中堅の造船会社「北斗造船」で働く社員のそれぞれの立場での悩みや希望を丁寧に描いている。当たり前だが同じ会社で働いていても立場やバックグラウンドで変わる、様々な人間模様が書かれていて面白い。

本作を読むと自分の悩みが小説になるくらい一般的な悩みだと気付く一方、仕事で疲れているときに読むには、話題が身近すぎて気分転換にならない。


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【読書感想】横関大「スマイルメイカー」

【ジャンル】ミステリー

【書評】A

【感想】

「子供だろうが老人だろうが、テロリストだろうがロマンチストだろうが、金さえ払ってくれれば誰でも乗せる。そしてどんな人間でも、このタクシーから降りるときには必ず笑顔になる。それがスマイル・タクシーだ」

笑えない(?)タクシードライバーを巡るミステリー。

最初の数十ページを読んでみると、自分の好みに合わなく、読むのを止めようかと思うことがあり、実際、それで読みかけになった本もある。

しかし、この本は最後まで読んで良かった。90ページくらいまでは苦行に近かったが、苦行とのギャップで、その後が非常におもしろかったのかも。


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