四つ葉のブログ

僕と妻、三人の子どもと暮らしています。趣味は、読書とジョギング、たまにロードバイク。いつかはトライアスロンに。書評=S(時間を忘れる程面白い)A(とても面白い)B(面白い)C(まあまあ)D(いまいち)E(つまらない)※あくまで個人的な感想です。

手に入らないから余計に欲しくなる

子どもの頃、欲しいものがたくさんあった。しかし、親の教育方針からか、その多くは手に入らなかった。だから親にたまに買ってもらったものは格別の輝きを持って僕の前に現れた。買ってもらえた漫画の本は何度も何度も読み返した。サーベルタイガーのゾイドを買ってもらって箱を触ったときの感触は今でも思い出せる。

そして、大人になり、自分で欲しいものは何でも買えるようになった。しかし、車を買っても最新のスマホを買っても子どものころに味わった震えるような喜びがない。

そして今年、子どものときに味わった、ものを手に入れたときの喜びを味わえるチャンスが巡ってきた。それは将棋棋士羽生善治さんが署名した初段の免状だ。羽生さんはたぶん将棋がこの世からなくなるまで語りつがれる人物だ。その羽生さんの直筆の免状が少なくとも次の竜王戦の結果がでるまで、手に入るチャンスがある。段位の免状にはときの名人と竜王の署名が入るのだ。今年の12月に竜王線に勝って永世七冠になった羽生さんの署名は少なくとも次の竜王戦の結果が出るまで入るはずだ。

当たり前だが、この免状は、ただお金を出せば手に入るものでなく、将棋の実力が認めてもらえないとな手に入らない。

子どものころ欲しかったものが手に入らなかったのはお金の問題だが、この免状に関しては実力がないともらえないし、羽生さんの免状については、彼が名人か竜王の間でしか手に入らない。その制約こそが僕を駆り立てる。

今のところ僕の実力が不足しているので簡単には手に入らないが、これからは将棋に時間をさいて、羽生さんの免状を手に入れる決意だ。そのために今まで読書していた時間を将棋に当てるようにする。

羽生さんの年齢からも今年と来年が最期のチャンスかも知れないので、悔いが残らないようにがんばる。こんなにわくわくするのは久しぶりだ。

 

【読書感想】宮下奈都「羊と鋼の森」

【ジャンル】企業・仕事

【書評】A

【感想】

北海道の小さな町で調律師になったばかりの外村(とむら)が仕事場の先輩や女子高生のピアニストと関わり合いながら成長していく。

優れた作家の書いた小説は、その物語が持つ温度や音までも感じることができる。

このことを最初に感じられたのは、宮本輝さんの小説だった。物語との接点は文字しかないのに、その文字から、秋の乾いた空気だったり、夏の湿度を含んだ空気だったりを感じられた。

 

本作での音の表現は、耳だけでなく、目でも捉えられるところがすごい。この表現を味わえるだけでも本作を読む価値がある。


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【読書感想】伊坂幸太郎「クリスマスを探偵と」

【ジャンル】ミステリー・ファンタジー

【書評】D

【感想】

クリスマスイブの日に探偵カールに起こった不思議な出来事。サンタクロースの謎が解き明かされる。

ハードボイルドのような、ハートウォーミングのような新感覚の大人の絵本。

現実に疲れたときに読みたい1冊。
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【読書感想】真山仁「オペレーションZ」

【ジャンル】その他

【書評】C

【感想】

デフォルト(国家破綻)を回避するため、国の支出を半減しようとする総理。しかし、当然、福祉の切り捨てなど、痛みを伴う改革を断行する必要がある。何が正解か誰にもわからない中で、出された結論とは。

本作は、時代を反映させた意欲的な作品であると思う。ゆえに本作で取り上げた個々の施策をもっと掘り下げてもらいたかったが、エンターテイメントとして本作を読むには、これくらいが限界か。

色々な意味で考えさせられる作品なので、読んで時間の無駄にはならないと思う。


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【読書感想】池井戸潤「陸王」

【ジャンル】企業・仕事・スポーツ(マラソン)

【書評】A

【感想】

「世の中ってのは、ただ一生懸命に頑張るだけじゃ報われないこともあるんだよ」

足袋を作る零細企業が社運をかけ、ランニングシューズの開発に挑む。

スカッとする勧善懲悪。仕事に行き詰まったときに読むと元気が出る。

ただし、零細企業の社長がこの本を読んで、勘違いして新規分野に手を出すと確実に失敗すると思う。

出版社の校閲の問題かもしれないけれど、前橋駅前の商店街が巨大なシャッター通りという表現が出てくるが、前橋駅前には商店街自体がない(駅から離れたところに商店街がある)など、いくつか気になる点があるのが残念。


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【読書感想】坂上琴「踊り子と将棋指し」

【ジャンル】その他

【書評】D

【感想】

記憶を喪ったアルコール依存症のオダと踊り子、依子の純愛物語。

物語に将棋の話が出てくる。僕は将棋が趣味なので、読んでいておもしろかったが、将棋を知らない人にとっては本作を読みづらくしてしまっているかも。

アルコール依存については、作者も治療経験があるようで、描写が生々しい。

この本を読んで、1番ストレスになったのは、紙がめくり難いことだった。紙が厚く2枚めくっている感覚になって気持ちが悪かった。


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【読書感想】木皿泉「昨夜のカレー、明日のパン」

【ジャンル】その他

【書評】C

【感想】

「悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだと知ってから、テツコは、いろいろなことを受け入れやすくなったような気がする。」

25歳で亡くなった一樹。その妻、テツコは今でも一樹の父、ギフと一緒に暮らしている。そんな生活の中、テツコの恋人、岩井や一樹の幼なじみとの関わりを通じて、少しずつ一樹の死を受け入れていく。

好き嫌いの別れる物語かもしれないが、悪人が出てこないので、安心して読めるところがいい。


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